10:カチコミ

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「ややこしいなあ。お前らは知らないだろうが悪魔社会も色々変わってるらしくてな。昔のように十字架と聖書で退治できるかと言われりゃそうでもねえのよ。悪魔も国境を越える。ネオ悪魔様の時代だからよ」 「俺らがそうだからな」  五十鈴が短く肯した。聞くところによると佐藤は吸血鬼だが、吸血鬼と磯女の間の子らしい。磯女は昔九州地方に多く生息していた日本の妖怪で、長い髪を人間に絡め、髪を通して血を吸う。 「どんどん進化しやがるお前らの対応で俺らも忙しい。毎年毎年ルール改正でマジで嫌んなる──ぜ!」  最後の勢いに任せて、伴がテーブルに叩きつけた物を、僕は前のめりになって観察した。手のひらサイズの四角い箱。真ん中に赤い瞳の模様がついている。飲食店で店員を呼び出すベルにとてもよく似ていた。 「わ! 懐かしい~」  興梠の手が伸びてきて、僕の前から呼び出しベルが消えた。 「ポケベルじゃない? これ」  嬉しそうに佐藤に見せる。今度はベルが佐藤の手に渡る。 「ポケベル知ってるか?」と、興梠に訊ね返した。 「知ってますよ! こないだ友だちと行った古今東西懐かしJK博覧会で展示されてましたもん!」 「そんなのやってたんだ」  渡辺が感心する。
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