夢桜

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夢桜

ひらひらと、ひらひらと、淡い桃色の花びらが舞い降りてくる。わたしの手のひらに、ひとひらの花びらが降りてきた。 小さい花びらだ。なのに、上を見上げれば大輪の桜の花が咲き誇っている。 小さい花びらも、たくさん集まれば美しい物となる。わたしは、優しく小さい花びらを人差し指で撫でた。何処と無く、柔らかい感触がする。 「秋菜」 名前を呼ばれて、うしろを振り向く。名前を呼んだ彼の人は、優しい笑みを浮かべている。 「誠哉さん」 わたしが彼の人の名前を呼ぶと同時に、強い風が吹き荒れ、大輪の花びらが宙を舞った。 わたしの目は反射的に閉じ、風が収まると、また目を開けた。 「強い風でしたーーーーあれ?」 さっきまでいた、彼の人がいなくなっていた。 ズキンッ 「いっ……」 何? 急に……?
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