魔法図書館

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 昨日も暑くて夜中に何度も目を覚ました僕は、今日も寝不足だった。エアコンをつけて寝れば良いのだが、電気代の節約だとお母さんに言われて扇風機で我慢している。ここが田舎の山の中なら、それは涼しいだろうが、家は都内の住宅街の中にある。家は二階建て一軒家で家族はお父さんとお母さん、それに2歳年上のお兄ちゃんがいる4人暮らしだ。因みに僕は現在高校2年生、サッカー部に在籍している。自己紹介ついでに言うのだが彼女はいない。生まれてから一度も女の子と付き合った事がないのだ。  今は高校が夏休みだ。日中はサッカー部の練習で学校に行くが、それは平日だけである。アルバイトをしている同級生もいるのだが、僕は夜眠れないので、休日の日中はクーラーの効いたリビングでスマホでゲームをしてダラダラ過ごしている事が多い。お母さんはそれが不満の様である。 「和樹、遊んでばかりいないで勉強しなさい」 「うーん、そうだね」  お母さんに言われなくても解っているのだが、どうしても勉強する気になれない。良い大学に入らないといけないのに。 「いくら暑いといっても図書館っていう手もあるじゃない」  そうか。図書館なら涼しいし静かで一石二鳥だ。可愛い女の子もいるかもしれない。僕は目を輝かせて「ウン、そうだね。行ってみようかな」と言った。
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