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「まあ、地縛霊にならなくてよかった」
と女の霊は消えたが、まだ本体が死んでいるゴミステーションを見ながら、槻田が呟く。
走って少し汗を掻いているようだったので、なんとなく食べかけのアイスを差し出してみた。
ゴミステーションを見つめる槻田は考え事をしながら、それを受け取り、少し齧る。
そんな槻田を、三橋がじっと見ていた。
「なに?」
と槻田ではなく、七月が三橋に訊く。
「なんなんだ、お前ら。
切羽詰った空気を一気に平和にしやがって」
と何故か愚痴ったあとで三橋は三村を振り向き、
「だいたい、なんでお前は来ないんだ、協調性がないな!」
と文句を言い出した。
「いやいや、なに言ってんの。
通報しといて、全員で逃げたら、僕らが怪しまれるじゃない」
やはり、三村がもっとも冷静なようだ。
そう思う七月たちの許に、パトカーのサイレンが近づいてくる。
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