疾走する霊

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 確かに此処で昨日、挙動不審だった(?)影を見てはいる。  だが、あれと事件が関係あるかはまだわからない。  どのみち隆彦は、そんなことは知らないはずなのだが。  心配性の隆彦の妄想は、妙なところに飛んでいったわりには当たっているな、と七月は思った。 「この死体の女――」  警察に作り話をする係だった槻田が、ようやく解放されたのか、側に来て、ぽそりと言った。 「足が速いかもしれないぞ」 「え。  そうですか?  僕、まだよく見てないんですけど」 と槻田を見上げて、隆彦が言う。 「貴方も陸上やってらしたんですか?」  筋肉を見てわかったのかと隆彦は問う。 「……少しな」 と槻田は答えた。
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