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槻田は久しぶりに上がった七月の部屋を物珍しそうに見回していた。
いや、別に何も変わってはいませんけどね、と七月は思う。
我ながら、相変わらず、こざっぱりした部屋だ。
「今から、晩ご飯食べようかと思ってたんだけど、食べる?」
とあまり槻田と目を合わせないようにしながら、ダイニングに向かう。
「晩ご飯?」
「カップ麺だけど」
と七月がダイニングテーブルの上に、ぽつんと乗ったカップ麺を指差すと、槻田は眉をひそめ、
「また、こんなもん食ってんのか」
と言ってきた。
前から感じてはいたのだが。
どうも我々は男女が逆転しているようだ……。
「もう~、またこんなもの食べて~。
仕方ないわね、私が作ってあげるわ」
なんてセリフは普通、彼女の方が言うものでは。
いや、もう自分はこの人の彼女ではないのだが……。
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