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いや、一応、こんなことじゃいけないと気をつけてはいるのだ。
だがそれでも、人間には作る気が全く起きないときがたまにはあって。
この男が、たまたま、いつも、その瞬間めがけてやってくるだけなのだ!
七月は、そう心の中で拳を作って訴えていたが。
本人に言えば、更に辛らつな言葉が返ってきそうなので、黙って堪えた。
「ピザにしよう」
と槻田は勝手に、電話台に置いてあったメニューを取る。
「やだ」
「やだ?」
「お寿司がいい」
「……誰が払うんだ」
「先生に決まってるでしょ。
私、お金ないもん」
さっき喧嘩を売られたので、
……いや、自分でも気にしている怠惰な食生活を口に出して言われただけなのだが、
自分ではそう感じたので、そんな風にこちらからも喧嘩を売ってみる。
「俺もないぞ、給料前なのに」
「この間で出たでしょーっ」
「出たらもう、次の給料前だ」
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