犯人

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「上がってってよ、三村くん」 「矢部さん、さっきの話聞いてた?」 と三村は腕を組み、困った顔をする。 「二人で歩くのも緊張するのに、どうして部屋になんか入れるの」 「大丈夫だよ。  どうせ、すぐに来るよ、三橋くんと先生が。  それに、まだこのまま何もないと決まったわけでもないし」  まあ――  そうだね、と同意し、渋々といった感じで、三村は付いてきた。  エントランスを入りながら、 「外で待ってようと思ったのに」 ともらす三村に、  そうだと思ったから、上がってもらおうと思ったんだよね~、と思ったが、また彼が遠慮してはいけないので、黙っていた。
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