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「珈琲、紅茶、ココアか、お茶かな?
ジュース……はちょっと炭酸抜けてるけど、何がいい?」
冷蔵庫を確認しながら七月が言うと、
「その選択肢だと、確実にジュースはないよね」
と笑ったあとで、
「じゃ、紅茶で」
と三村は言った。
はいはい、と戸棚から紅茶の缶を出しながら訊いてみる。
「三村くんってさあ、霊って全然見えないの?」
「まあ―― あんまり見えて嬉しいもんでもないしね」
と言う三村に、七月は缶を開けかけた手を止め、振り向き言った。
「いや、私も別に嬉しいわけじゃないんだけど」
振り返った視線が寝室のドアの方を向いた。
「麻里さん、此処で女の霊を見たみたい……。
でも、私には見えないの」
いろいろ思い巡らすように、三村の後ろの空間を見つめる。
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