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湯の沸く音がし、紅茶を淹れると、砂時計をセットした。
「それ、紅茶の時間、計ってるの?」
「そう」
口には出さなかったが、時計でいいんじゃない?
という顔を三村はしていた。
槻田もいつも同じ顔をするからすぐわかる。
三分間、暇になったので、
「テレビでも見る?」
と言いながら三村の横を通り、テレビをつけると、そのまま寝室のドアを開けた。
自分には見えない霊のルートを確認しながら。
こっちの部屋、締め切ったままだったっけ、と思いながら、窓に寄る。
ぎくりとした。
電柱のところに影が居たからだ。
いつかの隆彦のように、うろうろしている。
すぐさま取って返し、携帯を台の上から取った。
「どうしたの?」
「居るの!」
外に居る影に聞こえるわけがないとわかっていて、抑え気味に叫ぶ。
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