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「居るって――」
と呟く三村を置いて、電話をかけながら窓の側に寄った。
遅れて付いて来た三村をひっぱり、座らせる。
七月は窓横の壁からそっと外を覗き、着信音を聞いた。
「……どうしたの?」
「影が居るの。
あ、もしもし、隆ちゃん?
今、何処に居るの?」
『会議中だけど。
どうかした?』
切迫した空気が伝わったのか、焦ったように隆彦は訊いてきた。
向こうが騒がしい。
本当に署のようだった。
では、あれは、隆彦ではない。
じゃあ、波野だろうか?
そう思ったとき、そっと三村が顔を覗け、下を見た。
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