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「コート……
何色?」
「蛍光オレンジかな」
「結局、とんでもない色としか聞かなかったけど、あのキャップもその色なのかしら。
だったら、私、蛍光オレンジの衣類を身につけてる人が見えないとか?」
「さあね。
でも、ともかく、あの人、普通じゃないよ。
なんでこの季節にあんなもの着てるの?」
自分にその姿は見えないが、その影は、ずっとぼうっと同じ場所に立っている。
そんな珍妙な姿をして、不審な行動を取り続ければ。
やがて、住民に通報されてしまうかもしれない。
警察が来る前に、やはり確かめたい、と思い、
「下りるね!」
と叫ぶと、七月はスマホを持ったまま、飛び出した。
「あっ、ちょっと待ってよ!
矢部さんってば!
もう~っ!」
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