ななかまど

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「狭い場所の方が落ち着くんだよ」 と言ったとき、がらりと襖が開いた。 「可愛くないこと言ってると、たたき出すわよ、三橋くん」  そう言いながら、お盆を手に入ってきたのは、三村の姉の、百花(ももか)だった。  三村とはまったく似ていない、細身の美人だ。  歳が結構離れているので対象外だが。  はい、お茶、と百花は冷えたグラスを置いてくれる。 「……どうも」 と頭を下げた。 「学校、どお?」 と訊かれ、 「相変わらずですよ。  まだ落ち着かない感じです」 と答える。 「結局、亡くなられたのね、林葉先生」  そう呟く百花に、扇ぐ手が止まった。
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