569人が本棚に入れています
本棚に追加
「七月ちゃん!
あれっ? 七月ちゃんっ!?」
隆彦は会議中だと言うのに、スマホに向かい、何度も叫んでしまう。
七月の声が遠くなり、何か……
部屋に誰か……。
この声は――
三村くんだろうか?
『下りるね!』
と叫ぶ七月の声。
『あっ、ちょっと待ってよ!
矢部さんってば! もうっ!』
三村の声が遠ざかる。
七月はスマホを握ったまま、走り出したようだった。
その緊迫した様子に隆彦は立ち上がり、叫ぶ。
「七月ちゃん!
七月ちゃん! なにしてるの!
ひとりで行かないで!」
槻田先生は居ないのだろうか。
まずいな、と隆彦は思う。
七月ちゃん、結構無謀なところあるから。
おっとりした三村くんでどうにかなることならいいが。
最初のコメントを投稿しよう!