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電柱の下、ぼうっと立っている影――。
七月はマンションの入り口から、それを窺っていた。
この人、誰なんだろう。
そして、何故、此処に……。
影は動かない。
何をしているのか、自分には、その顔を見ることもできない。
七月は動かないそれに向かい、踏み出す決意をした。
道まで出たが、影はこちらを振り返る様子もなかった。
なにしてるんだろう、この人。
私のとこに来たわけじゃないのかな。
そう思った瞬間、影が向きを変えた。
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