七竈 ～夏～

ななかまど

　ナナカマドの呪いが、警察で解けるはずもない。

　林葉は拘置所で変死した。

　捕まったから許されるとかいう類のものではないのだ。

　そもそも、彼に呪いがかかったのは、東を殺したことが原因ではないのだから。

　東の死に続き、林葉の死。

　ようやく落ち着いたと思われた頃に飛び込んできた林葉の訃報に、校内は一気にまた、騒がしくなった。

　ちょうど夏休みに入って、校長たちもほっとしているかもしれない。

「百花さん、うちの学校でしたっけ？」

「そうよ。
　私たちの頃は、家政科がまだあってね。

　林葉先生、その頃にも居たわ。
　東先生も」

　やはり、東の方に思い入れがあるらしく、その表情が曇る。

　林葉の死は、東の死とは違う意味で、生徒たちに衝撃を与えた。

　拘置所でおかしくなった林葉は、そのまま病院に移されたという噂もあったが、結局のところ、拘置所で変死したらしい。

　どんな死に様だったのかは伝わってきていない。

　槻田たち、教員は知っているのかもしれないが。