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闇夜――。
白い花をやたらと咲かせた七竈が頭上に見えた。
自分は地面に寝かされているようだった。
美しい花だが、今年はやけに数が多い気がする。
一瞬とはいえ、東の死体が埋まっていたせいで、妙な妖気を放っているのかもしれないと思った。
思わず、そのまま闇に浮かぶ白い花を見つめていると、足許で人の気配がした。
ゆっくりと身を起こすと、いつの間にか、すぐ近くに、女が立っていた。
白い女。
ぼんやりとしか見えないその顔は――。
「……ナナツキ?」
こちらに一歩踏み出した七月の手には何かが握られていた。
鉈のようなもの。
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