ななかまど

8/39
前へ
/366ページ
次へ
   闇夜――。  白い花をやたらと咲かせた七竈が頭上に見えた。  自分は地面に寝かされているようだった。  美しい花だが、今年はやけに数が多い気がする。  一瞬とはいえ、東の死体が埋まっていたせいで、妙な妖気を放っているのかもしれないと思った。  思わず、そのまま闇に浮かぶ白い花を見つめていると、足許で人の気配がした。  ゆっくりと身を起こすと、いつの間にか、すぐ近くに、女が立っていた。  白い女。  ぼんやりとしか見えないその顔は――。 「……ナナツキ?」  こちらに一歩踏み出した七月の手には何かが握られていた。  (ナタ)のようなもの。
/366ページ

最初のコメントを投稿しよう!

569人が本棚に入れています
本棚に追加