569人が本棚に入れています
本棚に追加
頭の上で風を切る音がする。
七月が自分に向かい、鉈を振り下ろしたのだ。
「うわっ」
仰け反った自分の視界に入ったのは、白い花を咲かせた七竈の木と、月光。
そして、月光を背にした女の顔。
その顔は、確かに七月に間違いなかった。
後ずさり、手をついた場所に何かがあった。
視線を落としてみると、地面から手が覗いている。
また誰かが埋められている?
気がつけば、お尻の下にも何かあるようだった。
そっと腰を浮かし、覗き見る。
そこには、半分土から顔を覗かせた槻田が居た。
その目はもう何処をも見ておらず、濁っている。
半分見える口が何かを訴えかけるように、半開きに開いていた――。
最初のコメントを投稿しよう!