ゴミ箱の霊

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 矢部さん、もしかして、と三村は眉根を寄せた。 「……昨日、殺人現場でも目撃した?」 「いやまあ、見た覚えはないんだけど」 「でも、何か怪しいと思ったから、此処に来たんだよね?」 「夕べ、き――  いや、遅い時間に、此処を通ったのよ。  そのとき、あるものを見て。  それが此処から逃げ出すのを見たのよね」  額に指先を当て、思い出しながら俯きがちに言う。  三村が多少不満げに言ってきた。 「待って、矢部さん。  話が抽象的過ぎてわからないよ。  ちゃんと話して。  ああ、その何かを目撃する前に、槻田先生と居たのはわかったけど」  なにっ!? と三橋が三村を見る。  何故、一番わからなくていいとこだけ、わかる……。
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