567人が本棚に入れています
本棚に追加
/366ページ
矢部さん、もしかして、と三村は眉根を寄せた。
「……昨日、殺人現場でも目撃した?」
「いやまあ、見た覚えはないんだけど」
「でも、何か怪しいと思ったから、此処に来たんだよね?」
「夕べ、き――
いや、遅い時間に、此処を通ったのよ。
そのとき、あるものを見て。
それが此処から逃げ出すのを見たのよね」
額に指先を当て、思い出しながら俯きがちに言う。
三村が多少不満げに言ってきた。
「待って、矢部さん。
話が抽象的過ぎてわからないよ。
ちゃんと話して。
ああ、その何かを目撃する前に、槻田先生と居たのはわかったけど」
なにっ!?
と三橋が三村を見る。
何故、一番わからなくていいとこだけ、わかる……。
最初のコメントを投稿しよう!