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あの子が、消えても。
彼女は、それ以上、話をすることはなかった。
気まずい空気が流れた。
僕は、俯くしかできなかった。
翌日から、彼女は来なかった。
僕のせいだろうか。
ただ、不思議なことに、だれも彼女が学校に来なくなったことを話題にすることはなかった。
僕は、思い切って大澤先生に彼女のことを聞いてみることにした。
「あ、あの。僕の隣の席にいた神藤絵里花さん、どうしたか知ってますか?」
50過ぎの大澤先生は、目を丸くしてチョークを落とした。
「……君は、神藤絵里花のことを知っているのか?」
「え? だってクラスメートですから。みんな知ってますよ」
「何を言っているんだ? 名簿にもそんな名前はないだろう」
大澤先生は、目を伏せて、口を真一文字に結んで、名簿を僕に突き出した。
「……な、ない! そんな、バカな!」
僕は、名簿に穴が開くほど、神藤絵里花の名を探した。だが、決してその名は見つからなかった。
「あるはずがない。神藤絵里花は、私の死んだ娘だ」
「ええっ!」
膝が、自然に震えて来た。
いや、だけど。
「てか、苗字違いません?」
「神藤は、離婚した妻の苗字だ。彼女が5歳の時、私たちは離婚した。別れるとき、絵里花はパパ、パパって、足元に抱き着いてきたんだ」
大澤先生は、急にハンカチで目元を覆った
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