出会い

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 「これは…素敵なお庭だ。  どなたのものですか?」  聞き慣れない男の人の声がして、わたくしがはっと振り返ると。  吟遊詩人(アオイドス)が弦楽器を手に立っていた。  (みどり)の瞳に知的で優しい光をたたえ、茶色味を帯びた長い金髪をなびかせて、口ひげを蓄えた口元は茶目っ気を感じさせる笑いを浮かべている。  「美しい姫君…あなたは?」  若い吟遊詩人は深く響く美声で言いながら、わたくしに近づいてくる。
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