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「見るな!」
暑さに胸元をつまんで風を送り込むあたしに顔を寄せる彼の鼻をつまんで持ち上げる。
「いででで!」
うっすら髭の剃り跡が残るあごが天を向く。
顔を持ち上げた分、彼の身体が近づいてあたしの鼓動を早くする。
鼻をつまんだ右手を掴まれもぎとられる。
片手の自由を奪われたあたしは残った左手で彼のタオル地のボーダーシャツを掴む。
背伸びしなくちゃ届かない彼に。
せめてもと胸板に頭突きをくらわす。
夏空の様な青と白の極太のボーダーからは。
夏の匂いがした。
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