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遊園地のあの件から約一か月後、時期は6月下旬になっていた。
あともう1か月が経てば錦司にとって大学生活初めての試験がやってくる。
そんな不安を抱きながら、錦司は大学生活を送っていた。
もともと、錦司は勉強ができるタイプの男だが試験前はいつも不安を感じるのだ。しかも、次回はただでさえ大学生活初の定期試験だから余計に彼は不安を感じているのだった。
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「ねぇ、錦司くん。話があるんだけど。」
「はい。何でしょうか?」
ある日、錦司といくはカフェでコーヒーを飲んでいた。その時に、いくが突然話を切り出した。そんな彼に、錦司は疑問を抱きながらも対応する。
「私にストーカー行為をしている男たち、いたでしょ? そいつら、なんか問題を起こしたらしくて学生課の人にいろいろと言われてた。私、その機会を狙って学生課の人に自分がストーカーされていたことを言ったの。そしたら、そいつら停学にされることになったよ。」
いくは心から安堵した様子で言った。
「おお、それはよかったですね。ストーカーの犯人たちの前に出るの、怖くなかったのですか?」
「それはもう…勇気を出して行ったって感じかな。」
「そうですか。」
錦司はいくにストーカー行為をする者がいなくなったことに安心したが寂しくもなった。
彼のストーカーがいなくなったことで、いくのボディーガードという名の役目が終わってしまうからだ。つまり、自分が用済みになってしまうことに錦司は哀しみを覚えていた。
だが、彼はその自分の考えを最低だと思い、その自分の感情を殺すことにした。
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