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……行きたい!姉と甥っ子のために。でも、今は静君が行方不明だ。義兄さんと静君。どちらも捜したいけど。外は大雨。窓を穿つ雨に自分が打たれているような気がした。
夕刻。私はお風呂に入った。これからの事を考えていた。警察は誘拐された静君を捜索している。犯人は清美さんの宝と交換を条件にしているけど、宝の在り処は手の届かない島だと思われるので、警察は捜す気は無いようだ。私は姉と優作君のために、義兄さんを早く見つけたいけど。静君を見捨てるわけにはいかない。
「って?原口さん」
「うわぁ?」
湯船に浸かっていた私の隣に、いつの間にか優子さんがいたのでびっくりした。
「どうも、原口さん!撮影は終わったの?」
「来夏の水着は先週、終わりました。今は、『夢ブラ』のモニターをやっています」
「やっぱりFの七十五って凄いわね。でも全然セクシーじゃないし、身体が綺麗……」
「さ、触らないで下さい!」
全寮生が行っている下着モデルのバイト。当初の私はモニターとして使い心地を報告するだけだった。でもモデルが不足していると説得され、今は顔を写さない条件で、通販のカタログに登場しています。
「フフフ、原口さん。そろそろ、私達にも話してくれてもいいんじゃない?こっちも知らない振りをするのもキツイのよ」
「な、なんのことですか」
「静の御曹司に何かあったんでしょ」
手のひらでお湯をすくう、優子さん。
「どうしてそれを」
「あと。義兄さん事も関係あるのかしら」
「ゆ、優子さん?」
「ねえ、原口さん。夕食後、私の部屋に来てちょうだい。悪い話じゃないから」
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