3 源氏の棟梁

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「義経神社で伝承されている古武道は、鞍馬寺と同じ六韜派(りくとうは)です。これをマスターしている雪乃さんは、私達源氏の棟梁なんですよ」  そういう佐藤さんの声は弾んでいる。 「そして、偶然にもあの僕ちゃんが静家の御曹司。ねえ、前世の記憶とかないの?」  優子さんは楽しそうに言い終えると、何やら取り出してきた。 「これは我が佐藤家に伝わる義経公の笛です」 「本物かどうか、分からないけど。義経公の硯だってさ」  と言いながら佐藤さんと優子さんは、携帯の画像をすっと見せた。 「武藤家は……何にもないっす。エヘヘ」 「まだ、信じて頂けないですか?先輩」  三人の集中視線を受けた私は、頷くしかなかった。 「分かりました。信じます」  よっしゃ!とガッツポーズの武藤先輩。こうしないと話しが進まないしね。 「ところでさ。原口さん。本当に一体何があったの?そろそろ私達にも事情を話してよ」  優子さんの真剣な言葉。これ以上隠すのは彼女達に失礼だ。 「実は、静君が行方不明なんです」 「やっぱり……」 「それって、今日泥棒していた事と関係あるの?」 「どろぼう!?うぐ」  武藤先輩の声がでかすぎるので、優子さんが口を両手で塞いだ。 「だってさ。あんな嵐の中、怪しすぎるでしょ。私がガードマンの注意をそらさなかった危ない所だったわよ、原口さん」 「参りました……」  私は今まで義兄さんを捜すために源氏の伝説を調査していた事を打ち明けた。 「そして静御前伝説を調査していた静君と知り合って一緒に行動するようになったのですが、それが今回、悪い奴らに宝捜しをしていると誤解されたみたいで……」
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