4 知られざる敵

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「そうですか。警察は、静君を乗せた車の行方を追跡しているのでしょうね。恐らく今回の誘拐は、宗教団体『レッド』の仕業です」 「宗教っ?」  佐藤さんはテーブルにペットボトルのお茶を置き、私に注いでくれた。 「情報が操作されてどこにも載っていませんが、静清美、源智春、そして平清志。この三名は大学在学中に、自己啓発セミナー目的のサークルを作りました。これが後のレッドに発展していきました。教祖は平です」  そういうと、彼女は古い雑誌を棚から取り出した。 「この特集は超能力についてというもので、当時の平の写真がありますよ。ほらここ」  部室の写真とは違いスキンヘッドになっていた。作務衣姿の笑顔は爽やかだ。 「レッドは危険な思想です。源は早い段階で脱退していますが、静清美はレッドが違法薬物使用の疑いで集団逮捕される寸前に、教団の資産を持ち出して逃亡したんです」 「佐藤さん。詳しいのね」  雑誌から目線をずらすと彼女は頬を染めた。   「私は公安庁志望なのでカルト集団は勉強していたものですから。それに雪乃先輩は一ノ谷大学だから、何かあったら嫌だなと思って」  本当に私を守っていたんだな、と感動。 「……それで?義兄さんは脱退しているんだよね」 「そうみたいです。数か月しか在籍してないみたいですよ」 「どういう宗教なの」  私は持参したトマトジュースを一口飲んだ。 「平が掲げるレッドとは、いわゆる血の事です。身に起こる不幸な出来事は、先祖から伝わる因縁のせいなので、自分のせいでは無いという教えだそうです」  ジュースを飲むのを止めた……。 「そんな事を言っても。信者達は何をするの」
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