4 知られざる敵

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『お前は俺の声も忘れたのか』  高圧的な呆れた声。なぜか心底ほっとした。 「そんな事はどうでもいいでしょ?今、どこにいるの?」 『ああ。捕まったけど、逃げて来た。今は公衆電話から掛けている』    すると佐藤さんが私の肩を叩いた。 「先輩。まず、警察に連絡するように言わないと」 「!そうだよね。静君、一旦切るから110番して」 『そんなの。先にしたに決まっているだろう?愚か者め。俺を誰だと思っている。それよりも雪乃。例の宝の在り処って分かったか』  警察に連絡をしたと聞き、腰が抜けた。 「良かった……。怪我は無いの?」 『無いって。だから、在り処はわかったのか?』 「まだだけど、ヒントが何となく……」  すると、佐藤さんが私の腕を揺さぶった。 「先輩!電話をしているより、早く人がいる所に逃げた方がいいです」 「わかった。静君、あのね」 『ああ、何だ?僕の知っている処か』  ……ん?なんか違和感がある。何だろう、何だろう……。 「……」 『どうした、雪乃?』 「いや。大丈夫だよ」 『そうか。大丈夫か。いいからもったいぶらずに教えろよ』  ……やっぱりおかしい。いつも私が大丈夫っていうと逆に心配するくせに。 「ねえ静君。まず、そこはどこなの?」 『あ……?おい。止めろ!雪乃、宝を捜してくれ!頼む、僕達を助けて』 「待って?静君ちょっと!」  ツーツーと電話が切れた。 「静君は警察と合流したんですか、先輩」 「何か変なのよ……あれ?また、電話だ、もしもし?」  今度は片岡刑事だった。私は今、静君から電話をもらった話しをした。 「おかしいな。そんな情報は入ってないよ」
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