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「え。でも。たった今ですよ?」
片岡刑事は忙しそうで、すぐに電話は切られてしまった。
「さっきの電話は何だったんだろう」
「気持ち悪いですね」
それにしても、そっくりな声だった。口調も似て、いや。似すぎていた。頭が混乱して来た私は冷静になろうと、木刀を持ち屋上に上がった。
飛行機雲が広がる青空の下で何度素振りをしても、私の背に隠れる彼の気配を感じてすっきりしない。私は腹が立っていた。静君を守れなかった自分と、義兄さんを捜しに行けない無力な自分に。
第五話完
第六話「奪還せよ!」
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