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 彼の明るい声に、ほっとした。私は明日、出かける前に連絡をする約束をして、電話を切った。  私はお風呂からでて、簡単にストレッチした。ここ関東の真夏。エアコンなしでは、とても眠れない。今頃の古里の帯広は、短い夏の訪れを楽しんでいることだろう。  実家にいた時は、ライダーハウスの管理と、近くの然別湖でカヌーに乗ったり、ツーリングにいったり。でも、どれも義兄さんがいたから、楽しかったんだと思う  義兄さんとお姉ちゃんが結婚して、赤ちゃんも誕生し、私も妹として幸せだ。でも、義兄さんへの憧れというか、想いがまだすっきり消えない。お姉ちゃんじゃなくて、結婚相手が私だったら…なんて、無意味な妄想を抱いてしまう。  きっと私は田舎で育ったから、都会から来た義兄さんが素敵に思えたのだろう、と考える反面、ここへやってきても心を動かされるような男性には会えない現実を、寂しく思っている。  大学で男性に誘われることもあるけれど、どれも軽薄に思えて、付き合うまでいかない。未練がましく義兄さんが調査をした源氏の伝説なんかを、再調査をしている私。  ……三年前から、全然前に進んでいないな。今回は静君が体調の悪い事も、気が付かなかったし……。時計をみると、もう零時。これ以上、考えても仕方がない。私は枕に撃沈した。  翌日は祝日。山の日である。午前9時。私は静邸を出発した。 「静君。やっぱり、留守番した方がよかったんじゃないの。病み上がりでしょう」 「うるさい。ちゃんと前をみろ」 助手席の高校生は、すっかり熱も下がりご機嫌だ。後部座席には静父がが用意した羊羹が乗っていた。天気は朝から快晴。というか暑すだった。
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