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「雪乃。俺に言うことがあるだろう」
「はい?」
も、もしかして。ハンバーグがばれた?妙に勘ぐっていたし。
「どうして今まで。運転できることを俺に黙っていた」
「え」
「車の運転できるじゃないか」
以前、遠出するのにレンタカーを借りていこうと、静君が提案したことがある。が、それは首都高速道路を通るものであったので、私は拒否をしたことを思い出した。
「ああ、あのことね」
「言い訳してみろ」
出掛ける時は、機嫌が良かったのに。今はそっぽを向いている。
「私、実家の手伝いでよく軽トラックに載っていたから、運転は自信があるの。だけど、東京の道はちょっと……」
「運転ができない、といったのは、こっちの道が怖いだけで、免許はあるんだな」
「そうよ」
重機やバイクにも乗れることは、この際、黙っていよう。私達は、青信号が続く道をひたすら走っている。
「雪乃が運転できるなら、もっと効率よく調査ができたというのに……まったく……」
最後の方は小声で聞こえなかった。怒っているみたいだけど?
「今回の件で、母が俺達用に車を買うといっているぞ。どうする雪乃」
「それは。やりすぎでしょ」
「だろう?だから、俺はバイクにしてもらった」
「え」
「狭い道を調査するんだから、バイクの方がいいからな。雪乃は身体もムダにでかいし、バイクも乗れるんだろう?お前の携帯の写真の中に、峠かどっかで撮ったバイクを背にした写真があったのを、思い出したし」
全く。いつも勝手なんだから。でも静君に元気がでてきて、嬉しくなった。やっぱり彼はこれくらい毒舌じゃないと。
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