いなくなった2匹のうさぎ

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私は【ウサギ小屋】という言葉が好きではない。 うさぎが、自然の中を走り回るのが大好きな生き物だと知ったので。 うさぎは確かに、走るため、跳ぶための形をした後ろ足を持っている。 それまでは、うさぎとは小さなウサギ小屋で、じーっと動かないものかと思っていた。 初代のラビは、母が衝動買いしてきたうさぎだった。 グレイで、首の周りが白い襟巻きのような模様の毛並みをしていた。 見た目が可愛いだけでなく、性格も頭も良かった。 うさぎって、こんなに利口なんだ・・・!と感動した。 臆病なのに、好奇心が抑えられない! と鼻をヒクヒクさせている様子。 ふざけて遊びに誘うと、ちゃんと理解して、乗ってくるお調子者。 トイレもきちんと所定の場所でできる、お行儀の良さ。 なでてやると、気持ちよくなって、しまいにはコテンと倒れて気を失ってしまう愛くるしさ。 ラビは7年生きて、老衰で死んだ。 最後の頃は、トイレも粗相が多くなって、母はフンの片づけがしんどかったと言っていた。 見開いた遺体の目は、すぐに濁ってきて、母が美しい刺繍の布を体にかけて覆ってやっていた。 死期が近いと分かっていたので、少しだけ泣いて送った。
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