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視界に最初に入ってきたのは教室のスクールパーケットから色素が抜けただけの、方眼が並んだような天井だった。
続いて胸元から足にかけて布の重さを感じ、自分が保健室のベッドで寝ていたことを知覚する。
枕元には「メデューサの涙」とラベルに印字された瓶が空のまま転がっていた。もちろん石髪さんの涙ではないだろうが、これを使うことで石化が元に戻るらしい。
手足の指先から自分の神経が支配下にあることをゆっくり確認し、体を起こす。自分の身体がケイ素と石灰質に作り替えられた先ほどの悪夢のことが脳裏を過った。まだ赤く光る両目がチラついている。
この練習、結果として成功とは言い難いだろう。石髪さんの恋は実るのだろうかはわからないが、今はまだその時ではないことが判明しただけ収穫だったのではなかろうか。
それにしても。石髪さんが好意を寄せた相手の名前を知りたかったな、と靴を履きながら考えた。
正直なところ、少し妬けている。
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