あるある:1

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 ここでメデューサにまつわるお話をひとつ。  メデューサ――正確な発音ではメドゥーサ――は、生を授かった時からこの姿であったわけではなく、もともとは生身の人間であった。長女のステンノー、次女のエウリュアレーと共にゴルゴンの三姉妹と呼ばれ、それはもう大変な美貌で知られていたという。  鼻筋はしっかり通っていて、顎が細く、陶器を思わせる琥珀色の肌はきめ細かい。目は大きく、愛嬌のある振る舞いは誰もを魅了した。  世の男性は愛を語りに日夜彼女たちの下へ集ったという。  しかしその恥月閉花っぷりが高じ、ある日のこと。  自分の髪を自慢した文言の中でついアテナ神のことを冒涜してしまい、話を聞いたアテナは怒りに震え、彼女を現在の姿に変えてしまったのだという。  早い話女は怖いっていうオチなのだが、僕たちの界隈じゃ人間でなければ男女問わず恐ろしい存在がそこいらに点在する。場合によれば人間だって十二分に恐ろしい。性別は問題ではない。 閑話休題。  
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