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「頼子ってさ、何で化粧しないの?」
久々に女子大時代の友達と再会すると、みんな綺麗に化粧をしていた。
集まったのは特に仲のよかった悪友3人。悲しいかな、みんな揃って彼氏が居ない。
だからこそ、土曜の午後に、ファミレスなんかに集まることが出来るのだ。
でも、それと化粧をするしないは別の問題。いや、むしろ居ないからこそ綺麗に装飾するべきなのかも。
だって私達ももう28だもの。
この年になってもスッピンで勝負しようだなんて物好き、そうそう居るもんじゃない。
女の子は普通、物心がつき始めると、お洒落に気を遣うようになるのだから。
中学生だって高校生だって――いや、もしかすると最近は小学生だって!――女の子はトイレに行くたびに鏡の前で髪を梳かしたりちょっぴり色つきのリップを塗ってみたり、そう言うことをするようになっているんじゃないかしら。
私だって……そんな人並みのお洒落には興味もあるし、異性から「綺麗だね、可愛いね」って思われるように努力したいとも思ってる。
ただ――。
何だか表立ってそう言うことをするのが照れくさく思えてしまう。
私、小さい頃からそんなところのある子だった。
人前で鏡を見るのが凄く苦手だったし、「あんたみたいな不細工な子が鏡見たって仕方ないじゃない」。いつもそんな風に言われるんじゃないかとビクビクしていた。
別に誰かに「ブス!」って言われたことがあるわけでもないのに、ただ漠然と自分はお洒落をしてはいけないんだ。そんな風に思っていた。
それは長じてからも変わらなくて。
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