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ドリンクバーだけで何時間粘れると思う?
学生の頃のようにくだらないことを言いながら、実際にそれを注文して、5分余りが経過している。
みんな各々好きな飲み物を手に席についていた。
私の顔をしげしげと見つめて問うてくる明美に、
「何か悪いことしてるような気になるんだもん」
消え入るような声でそう言うと、明美だけでなく則子までもがぽかん……とした顔をした。
「どうして?」
二つの口から同時に発せられる至極まともな問い。
本当にどうしてだろう。自分でもハッキリとは分からないけれど……もしかしたら。
ふと思い当たることがあって「あのね」と話し始めると、二人が目を輝かせながら近付いてきた。
興味津々って顔に貼り付けてあるの、バレバレよ?
さっき、注いできたばかりのジュースのことも忘れてしまっているみたい。
さして面白い話をするわけでなし。ふと盗み見た目の端で、存在を忘れられたグラスから一筋の水滴が流れ落ちるのが見えた。それに合わせたように氷がカラン……と軽やかな音をたてて薄まったジュースに沈む。
その音に押されるように私は話し始めた。
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