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「オーイ! 新しい依頼きたぞー!」
真っ白な被毛に金目銀目の少し大柄な猫が、しなやかに窓枠を飛び越え、階段を駆け上がってきた。
「どんな依頼なの?」
私は眼鏡ごしにモニターを見つめ、キーボードを打つ手を止めずに聞いた。
白い猫はトンと私が作業している机の上に飛び乗ってきてモニターを覗き込み言った。
「うん、おじいちゃんの運転を止めさせたいんだってさ」
「あぁ、最近高齢者の事故のニュースが多いアレね」
そこで、私は一旦手を止めて、その白い猫の目を見つめた。
「知らせてくれてありがとう雪希」
頭をなでてやると気持ちよさそうに、目を細め鼻先を持ち上げる。
「じゃぁ、もうちょっと詳しく聞かせてくれる?」
私は眼鏡を外しながら、話を続けるよう促した。
「うん。いいよ!」
前足をちょこんと揃えお行儀良く座ると雪希は話しを続けた。
ーーこの言葉を話す白猫は、普通の猫ではない。長い年月を生きてきた猫又、私の大事なパートナー。
私は小説家。兼、雪希が聞いてきた依頼を解決するのが仕事。まぁ、ちょっとだけ普通じゃない力を使ってね。それと、もう一人……面倒くさい奴が家に居着いてるけど……そいつの話は追い追いと。
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