Prologue

1/1
1043人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ

Prologue

 どうやら記憶を持ったまま転生したらしいと僕が気づいたのは小学生になる前、物心ついたころだ。  姉が腐女子と呼ばれるものだった影響か、僕もオタクで案の定腐男子。  だから転生したのも然程違和感なく受け入れることが出来た。  魔法が使えるファンタジー世界。ギフトと呼ばれる能力と、そこそこ高い魔力を持っていた僕は、これは人生勝ち組じゃないかと一人ほくそ笑んだものだ。といっても、容姿はお世辞にも美形とは言えない平凡顔なんだけどね。  ひとつおかしなことは、この世界、女性と呼ばれるものがほぼいない。  その理由に見当が着いたのは、学校に入学してから。  王立の魔法学園の名門校、エスカレーター式の全寮制の高等部での入学式。僕は外部の特待生として入学した。 「初めまして生徒会長の二年紫皇キリュウインだ。桜凛館魔法学園高等部は諸君らを歓迎する」  壇上に立った彼を見た瞬間、僕は彼が前世で大好きだったBLゲームの攻略対象者だった事に気づいた。どうやら僕はBLゲームの世界に転生したようなのだ。  まぁ、BLゲームに女性は必要ないのかもしれないけど、腐男子とはいえ性的指向がノーマルな僕は、今世でもそれを引きずっていて、そこだけは戴けなかった。無い物ねだりしてもしょうがないんだけど。  と言うか、ノーマルがあってこそ、BLが生きると言うのに、なぜノーマルがほぼ存在できないのか、声を大にして言いたい。もっとも、それと萌えとはまた別なんだけどさ。  僕の名前は七瀬サトウ。ギフトと呼ばれる何千人かに一人持っていると言われる奇跡の力を持っている。僕のギフトは人の能力や感情を読み取るもの。名前と言うか、キーワードは《心眼》と言う。ゲームほどではないけれど、これはステータスを読む能力と呼んでもいいだろう。数値として読み取れる訳じゃないから、正確さには欠けるんだけどね。  そう、僕はゲーム主人公のサポートキャラとして転生したのだ。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!