2. 川へ行くぞー!

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2. 川へ行くぞー!

 次の土曜日、ぼくは父さんの車で、川に出かけた。  石を拾うためだ。石はカビが生えたり、くさったりしないんじゃないかな。 「おーい。ちゃんと集めろよー」  父さんは釣りが趣味だ。さっきから竿をふって、岩魚をねらっている。  集めろって言われても、何が何の石だか、さっぱりわからない。  色の違う石を探そう。  父さんが近づいてきた。 「ここは釣りのポイントだからな。母さんにも、場所はないしょだぞ」  ひそひそ声で耳打ちする。 「それは無理だよ。標本にしたら、採ってきた場所は、書かなくちゃいけないしね」  ショック状態の父さんの足下に、何だか表面が透き通った、赤い石をみつけた。  手に取ってみると、黄土色の筋が入っている。固くてすべすべしているけれど、角ばっている。ぼくは、日に透かしてみた。 「お、それは油石だな」 「アブライシ? 何、それ」 「昔はそれを火打ち石にして、火をおこしていたんだ」  ふうん。  ながめていると、父さんが「撤収!」と叫んでいる。  どうやらここでは釣れないので、場所を替えるらしい。  この川は恐竜博物館が近いので、化石があるかもと期待していたのに。  ぼくはあわてて、他の石を拾った。
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