3. 石が動いた!

1/1
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

3. 石が動いた!

「拾って撤収」を後、2回繰り返した。  家に帰って広げてみると、なかなかの数が集まっていた。  それでもやっぱり、あの赤い石が1番きれいだった。    手の平にのせてみると、石がコトコトと動いた。 「わっ!!」  ぼくはびっくりして、石を放り投げた。 「痛いじゃろうが。いきなり何をする」  え?え?えー!  ぼくはきょろきょろと見回した。今、声がしたはず。 「ここじゃ、ここじゃ」  タンスの陰から、声が聞こえてきた。  拾ってみると、赤い石は、またコトコトと動いた。 「驚かせてしまったのお。しばらく振りに体が動いたんで、嬉しくなってのお」  赤い石は、名前を「ろくえもん」と言った。  自分はその昔、海の中にいた虫で、気がついたら仲間といっしょに、岩になっていたらしい。 「それがな、いつの間にか自分の体が持ち上がって、山になってたんじゃよ」  ろくえもんさんは、ふぉっふぉと笑った。 「え? 海だったのに、山になったの? そんなことってあるの?」    そうだ。調べてみよう。  ぼくは本棚から岩石の図鑑を取り出した。  ページをめくっていくと、ろくえもんさんとそっくりの石がみつかった。 「チャートだ。ろくえもんさんみたいな石はチャートっていうんだ」  確かに、チャートはプランクトンの化石だと書いてある。  じゃあ、今日拾った場所は山の奥なのに、元は海だったって、本当なんだ。 「ね、海にいた時って、どれぐらい前なの」 「そうさのお。いつの頃かのお。忘れてしまったのお」  ろくえもんさんもわからないんだ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!