1話2Part おかえりなさい、魔王様!②

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1話2Part おかえりなさい、魔王様!②

「Bitte bewegen Sie sich nicht einmal einen Schritt von der Stelle(その場から1歩も動かないでちょうだい)」 「Ist ......(は......)」  想定の斜め上を行く発言に、マオは思わず目を見開く。 「......Gib auf. Ihr Jungs sind bereits von der Brave Army belagert ! !(諦めろ。貴様らはもう既に、勇者軍に包囲されている!!)」 「13. Generation Zusammenbruch war schnell. Sie haben es versäumt, den Süden zu verteidigen ...... Nein, es war ein Fehler, die menschliche Welt anzugreifen. Bereue in dieser Welt ! !(13代目の崩落は早かったわね。南方の守りを怠ったこと......いいえ、そもそも人間界に攻め込んだ所から間違いだったのよ。あの世で悔い改めなさい!!)」 「Eh......?(え......?)」  そんなマオを他所(よそ)に、2人は高らかに言い放った。  いつの間にか城の周りを包囲されていたのか、2人の勇者の声に反応した勇者軍の兵士達の声がマオの耳にふいと届いた。  1歩も動くな、そう言われてその場で固まっているマオの喉元にルイーズは聖槍を突きつけ、ジャンヌはベルフェゴールの方に一応警戒してか聖弓を向けている。 「Diese Welt ist unsere Welt. Ich werde es dem Teufel nicht geben ! ! (この世界は私達の世界よ。悪魔なんかには渡さないわ!!)」  勇者2人の声に、皇城を取り囲む勇者軍の兵士達は耳を傾け、魔王軍の残党悪魔達はざわめいた。 「Nicht bewegen......Rückzug aus der menschlichen Welt, lebe bescheiden in der Dämonenwelt ! ! (動くなよ......人間界から退却して、魔界で慎ましく暮らすことだな!!)」 「! !」  そう言って、ルイーズは聖槍を一気に突き刺した。......魔王の首の、すぐ横の壁に。 「Jeanne, ich habe es dir überlassen (ジャンヌ、あとは任せたぞ)」 「Ich verstehe...... Schnell die Portale über der Burg öffnen und weglaufen (分かったわ。......さっさと城の上空でポータル陣開いて、逃げなさい)」 「......Hey ! ? (は!?)」  聖弓勇者の告げたことに、マオは思わず声をあげた。 「Deshalb sagst du, du solltest weglaufen ! Ich gebe dir ein Erkennungshindernis ! (だからさっさと逃げなさいって言ってんのよ!認識阻害はかけてあげるから!)」 「...... Ja ?(はい?) 」  何回聞いても自分の耳か頭が狂ったとしか思えないマオは、また聞き返す。 「Weißt du was, Töte dich hier Wenn du nicht für immer nach Hause gehen kannst, Deine Eltern und Freunde werden traurig sein, oder?(あのねえ、あなたをここで殺して永遠に向こうの世界に帰れなくしたら、あなたの親御さんや友達が悲しむでしょ?)」 「Eh, Ich glaube nicht, dass das der Fall ist......(え、それはねえと思うけど......)」 「Sowieso ! ! Bitte kehre so schnell wie möglich in deine Heimatstadt zurück ! !(とにかく!!早く向こうの世界に帰りなさい!!)」  マオはジャンヌの勢いに気圧されて、 「Oh,Ich verstehe ...... Belphegor (おお、わ、わかったよ......ベルフェゴール)」  戸惑いながらも、ベルフェゴールに声をかけた。 「Es, kann nicht geholfen werden...... Äh...... ow, Übergangszauber, Po, Portalspeer (し、仕方ない......えっと......痛っ、転移魔法、ポ、ポータルスピア)」  ベルフェゴールはようやく落ち着いたようで、整った息を荒らさぬようにゆっくりとマオの元に移動してから、痛む肩を押さえつつポータル魔法陣を描く。  それが完成した後、ベルフェゴールが魔法陣に魔力を流し込むと、床に描かれた魔法陣はきらきらと赤色に輝き出す。  そしてマオも魔法陣の上に移動し、転移する直前、 「Wenn du da drüben schlechte Dinge tust, werde ich dir den Kopf abschlagen (向こうで悪行を働くようなら、その首切り落とすわよ)」 「Oh, gruselig ...... (おお、怖...... )」  ジャンヌの恐ろしい言葉が聞こえて、マオはぶるっと身震いした。  その直後に、2人の姿は赤色の光の粉だけを残して消え去ったのだった。 「......Du gingst, (......行ったわね、)」  ジャンヌは、マオとベルフェゴールが確実に去ったのを確認し、聖弓を掲げて高らかに宣言した。 「...... die tapferen Soldaten der Armee haben den Dämonenkönig der dreizehnten Generation getötet ! ! ! (......勇者軍兵士達、13代目魔王の首を討ち取ったわー!!!)」  Woohooooo !!!! 『Es ist uns gelungen, die kaiserliche Hauptstadt Lagunaroku vom Dämonenkönig Mao Midorigaoka und der Dämonenkönigarmee zurückzugewinnen ! !( 魔王マオ·ミドリガオカと魔王軍から皇都ラグナロクを奪還することに成功しました! ! )』  異世界の通信用の水晶···イデアクリスタルから聞こえてくる実況師の歓喜溢れる声と共に映されたのは、人間達の手に帰ってきたら皇都·ラグナロク。  もはや悪魔の糧である悪感情が欠片も感じられなくなったその土地で、どうやって悪魔が生きていけよう。  ......こうして、第13代目魔王こと、マオ·ミドリガオカ......緑丘 望桜(みどりがおか まお)は生き延びたのだ。  人間界中央の、元々は人間の皇帝が住んでいる自分たちの占拠した皇城·ヴェルオルガ城の上空で、自身の側近であるベルフェゴールに脱出魔法(ポータルスピア)をやっ......っとこさ開いてもらって。  下から見上げている勇者の蔑むような目線を直に浴びつつ、これからのことで一つだけ願いながら。  どこに行きつくかもわからないポータルの先が、どうか中性男子でいっぱいの、俺にとって過ごしやすい土地でありますように......と。  ──────────────To Be Continued────────────
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