目覚めの時

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皆様、はじめまして。 ワタクシの名は、湯浅佳苗。都内の保険会社に勤める勤続1年目のまだまだ新米OLで御座いますですの………。 ………と言う堅苦しい挨拶はさておき。 って言うか、つくづく機械的な作業に嫌気がさしてきたアタシは、10日程前に新宿歌舞伎町にある一軒のキャバクラでアルバイトを始めたんだけどねぇ。 アタシの源氏名は、………カナ。 同じキャストとして出会った相手が、源氏名をアスカって言うんだけれど、本名が榎本杏華で、アタシの中学時代のクラスメイトだったんだよね。その頃は、そんなに仲良くしてた訳じゃなかったんだけれど、お店で出会って以来、昔の思い出話に華が咲いたって言うか………。 「………すっごく久し振りじゃん?」 「同窓会以来かもね………。」 「………でも、又、何で?………この前、保険会社で働いてるって聞いてたけど。ひょっとして、遂にクビって訳?」 「何よ、その失礼な言い方………。」 「………えっ、違うの?」 「別にそんなんじゃないってばぁ。只、少しだけ出会いが欲しかったって言うか………。」 「ふ~ん。でも、出会い中なのがお店にお客としてやって来るんでしょうから、あんまり真剣に付き合える相手なんていないかもよ?」 「………そんなものなのかなぁ。」 ………でも、アタシ、それから暫くして、運命的な出会いをしてしまったのよね。 でも……………………。
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