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めぐる季節の中で……
「………出産されるか中絶されるかは、全てはアナタの自由意志です。ですが、せっかくの新しい生命を奪う事は罪であると思いますがね?」
「………先生。………アタシ、この先、どうすれば良いのか全然分からなくて。」
「今すぐに結論を急ぐ必要は無いと思います。考えがまとまれば、改めてお伺いして頂ければ宜しいかと思われますよ。」
産婦人科医の堂本光男は、暗中模索している湯浅佳苗にそう告げた。
寂しげな表情を浮かべたまま、産婦人科を跡にする佳苗………。
そして………………。
西の空の彼方に沈みかけている夕日を受けて、光り輝いている、そんな佳苗の背中を物陰から見つめているひとりの青年の姿があるのだった。
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