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奇跡の出会い
………あれから、どのくらいの歳月が流れたんでしょうね?………アタシ、思い切って決心したの。
………………出産しよう!
未婚の母になるのは辛いけど、生まれて来る生命には不憫な想いをさせてしまう事になるかも知れないけれど、それでも、生まれて来る子供を一人前に育てる事。………それが、これから先、生きる目的になるだろうから。
妊娠した頃から8ヶ月程が経った或る日の午後。
何時もの定期検診に産婦人科へ出かけていたアタシは、院内で思わず驚愕してしまったの。
「………こんな事は本来あり得ない事なのですが、胎児の影が跡形も無く、消えてしまっておりますねぇ。何か心当たりは御座いませんか?」
「……………………………………!」
………お腹の子が、あの子がいなくなった。
………どうして?アタシ、せっかくお腹の子に付ける名前まで考えてたのに。女の子だったら、お伽噺にあやかって、………華久弥。男の子だったら、この国の神話にあやかって、………武流。
………なのに。………それなのに。
アタシ、これからはずっと独りぼっち………。
でも、そんなアタシの目の前に現れたのは、アタシの生涯を変えてくれる様な救世主みたいな相手だったのよねぇ………。
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