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時の守り人
「………時の守り人?………何なの、それ。」
武流は答えた。
「所謂、時間の支配者である神の遣いと言った方が解り易いかもね………。」
「……………………………。」
「………ひょっとして、疑ってる?」
「………別に。」
アタシは、暫くの間、言葉を交わす事無く、武流と見つめ合っていた。でも、ホントは只、腹の探り合いをしてただけなんだけどね。
「………それで、その時の守り人であるアナタが、アタシに何の用なのかしら?」
「………それは、アナタの魂を天に導く為さ。」
「それって、どう言う事?」
「残念な話だけれど、この世界も、もう直ぐ幕を閉じる事となってるんだ。それまでに救える魂を救う事が僕たちに課せられた使命って訳。そして、それが偶然、僕がアナタに出会ったって事なんだけどね。」
「………………………………。」
「………もし、あのまま、アナタが出産していれば、アナタはこの上無い憂鬱と苦痛を味合う事になっていた。それを、僕が運命の歯車を断ち切ったんだよ。」
「………………ふ~ん。」
武流は、嘘を付いている様な素振りは全く無かったのだけれど、アタシにとっては信じ難い事実なだけに、全てを受け入れる為にはそこそこの時間が必要なのかも知れないのよねぇ。
武流は、更にアタシに話した。
「………実は、悪いんだけど、一宿一飯の宿を貸してくれないかなぁ。何しろ、僕には行く宛も無いものだから。ねぇ、良いでしょ。………ママ?」
………ママ?………でも、本来、武流はアタシの。何だかアタシ、彼のペースに巻き込まれてしまってると言うか何と言うか。結局、アタシ、武流をアタシの部屋へ招待してしまったものの………。
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