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特徴的な、鐘のようなメロディがホールに広がる。
柔らかな女性のアナウンスが、学校名と曲名、指揮者名を告げる。
ざわめいていた会場がさあっと静まり、冷たい水のような緊張感の中に沈む。その見えない緊張感の中、指揮者が振り下ろす棒に導かれて音楽が始まる。
明るく、昏く、賑やかに、静かに、激しく、穏やかに、美しく。
何ヶ月にもわたって掘り出し、磨き上げ、形にしてきた7分間を、それを何倍にも増幅させるホールで。
だから私は、コンクールのステージが好きだ。
毎年、200を越える学校、団体がこの場所で競い合う。
もちろん、競い合うとはいっても物理的な争いがあるわけではないし、一人一人にメダルが渡ったり、表彰式があったりするわけでもない。
それでも、ステージの上で感じる、そこだけで感じられる空気が、私の努力を認めてくれる気がするから。
一昨年は、ステージの裏に設置されている小さなモニターで、同じくステージに乗ることが出来なかった仲間達と祈るようにして聴き入った。
真横でステージメンバーの努力を見ていただけに、あまりにもあっさりと流された銀賞のアナウンスに、涙が止まらなかった。
去年は、初めての舞台に舞い上がる気持ちを抑えながら、先輩達の音に必死で合わせて吹ききった。
一年半夢見ていた『ゴールド金賞』に歓喜の叫びを上げたのも束の間、地区代表には選ばれず、嬉しいような悲しいような、ぐちゃぐちゃな気持ちで涙を吞んだ。
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