第2章 それぞれの想い

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僕達3人は、野球部の更衣室でユニフォームに着替えてグランドに行き、監督の所に走って行った。 心城学園は、今年の夏の大会では、3回戦で負けている。 ただし、2年生レギュラーは3名、1年生レギュラーは1名と、約半分が2年生以下のチームなので、来年は期待が持てる構成だ。 エースも2年生の本格的なオーバースローの投手で、ストレート、カーブ、スライダーを中心に配給を組み立てている投手だ。 僕達は、まず体をほぐすため、ランニング、準備体操、キャッチボールの順に体をほぐした。 監督が僕達を呼ぶ。 僕達は監督の元に行くと、監督は次に、グランドにいる選手を集めた。 全員が監督の前で円陣を組むと、監督が選手達に、今日僕達が来た目的を伝える。 「この3人が、セレクションを受けに来た中学生だ。 右から内野手の近藤君とキャッチャーの秋山君、そして投手の小野君だ。」 続いて今日のセレクションの内容を全員に伝えた。 「まずは、近藤君と秋山君の打撃をテストする。 レギュラーが守備につき、エースの安川が2人に対して5打席づつ投げる。 2人の打撃が終わったら、近藤君と秋山君は守備に入り、小野君はレギュラーと1打席づつ対戦してテストは終了する。 それと、審判は俺がやるからな。 分かったか」 すると全員で 「はい」 と言って、レギュラーは、守備位置についた。 エースの安川さんが投球練習を始める。近藤と秋山も素振りをして準備を始めた。 このグランドは、両翼100mぐらいあり、高さ10mぐらいの防球ネットに囲まれている。 ネットに当たるには、相当の飛距離が必要である。 そしてテストが監督の一声で始まる。 「もう入っていいぞ」 すると近藤が 「じゃあ俺から行くぞ」 と打席に向かう。 近藤は右投げ左打ちなので、左打席に入る。 いくらいいバッターとは言え、野球から少し離れていたら、そう簡単に打てるものでは無い、と思っていた僕の予想は1球目で見事に外れた。 初級 鋭い金属音が流れる。 打球は鋭い当たりでセカンドの頭上を越えて、ライト、センター間を抜けていった。 2打席目も初級にカーブをファーストの頭上を越えてライト前 3打席目、安川さんも打たれたショックでボールが先行して、ストライクを取りに来たストレートをライトの頭上を越えて、防球ネットまで達した。 4、5打席は、鋭い打球をセンターの好守備によって、センターフライに終わった。 近藤の打撃は文句のつけようが無い。 それにしても、あのセンターの足は尋常では無い。 あのセンターで無ければ、全て抜けていただろう。 次は秋山だ。 秋山が右打席に立つ。 第1打席 慎重に2球見送り、3球目をレフト前、2打席目はカーブを流したがセカンドゴロ、3打席目、4打席目はレフト、センター間を抜けそうな打球をセンターが飛び込んでキャッチした。 秋山は悔しがっていたが、本当にあのセンターは上手い。 そして最後の5打席目 安川の肩口から入ってくるカーブを見事に捉えて、打球はレフトの頭上を越えた。 近藤程のインパクトは無かったにしろ、上出来な内容だった。 そして、いよいよ僕はマウンドに上がる。 守備も入れ替わり、僕はマスクを被る秋山に向けて、投球練習を始めた。 レギュラー達の声が耳に入ってくる。 (サブマリンか?) (結構速いな) 普段は他人の評価などを気にした事など無かったが、今日はやけに気になってしまう。 「そろそろ大丈夫か?」 と監督から声が掛かり 「はい」 と大きな声で返事をする。 僕のテストが始まった。
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