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駅に着いたが、御茶ノ水駅に家がある莉乃は、どの電車に乗るのかさえ分からない。
山手線、銀座線それとも半蔵門線?
行こうと思えば、どの路線でも行けてしまう。
どうしよう?
すると、後ろから声が掛かる。
「もうここには居ないわよ。追っても無駄よ。アンタと莉乃は釣り合わないわ」
さっき莉乃を引っ張って、一緒に逃げた子が僕に話し掛けてきた。
「アンタどういうつもり。莉乃を汚して嬉しいの?」
「僕は汚すつもりなんて一切無いよ。僕は真剣に莉乃が好きなんだ」
「何でそんな好きなのに、他の女と一緒にいるのよ!」
あれ?莉乃の話し方に似てる。
「幼馴染で、別に恋人でも無いし、大事な友達だよ。
そんな変な関係では無いよ!」
ちょっと大きな声だったので、周りの人が僕達をチラ見している。
「ちょっとここでは話しづらいから、こっちに来なさい」
と喫茶店に入る。
そして2人掛けの席に座ると、再び話し始める。
「莉乃はね、大人しいからアンタの申し入れを断れなかっただけなの。
無理矢理KISSまでされて、訳が分からず付き合ったのよ。
別にアンタの事を好きで付き合っている訳では無いのよ」
?
「それは莉乃が言ったの?」
「そうよ!当たり前でしょ!他に誰が言うのよ」
僕は彼女に向けて指差す。
「本当に馬鹿ね。何で私が・・」
「だって、僕達まだ付き合って無いよ」
「えっ!そうなの?」
いきなり声のトーンが下がった。
「それに莉乃は僕の前では大人しく無いよ。君の話し方にそっくりだよ」
「えっ私に?」
何だろう、異常に驚いている様子だ。
「話を誤魔化さないで!」
「いやいや、複雑にしたのは君だよね」
「とにかく莉乃には近づかないで!
あの子は内気で、私しか友達がいない様な子なの、そんな子を騙して嬉しいの?」
まったく人の話を聞かない。
この子って、まさか
「ねえ、君が祐輔いや大野と付き合ってたって言う友達?」
「そ・そうよ。悪い?」
「本当に付き合ってたの?」
「付き合ってたわよ。失礼ね。
電話番号だって知ってるわよ」
「その番号、誰から聞いたの?」
「うるさいわね。彼の女房からよ。」
何だか話が滅茶苦茶になってきた。
「それって秋山?
知らないわよ。
とにかく付き合ってたの、電話も3回ぐらいしたんだから」
「どっちが告白したの?」
「私が付き合ってって言ったんだから」
「大野は?」
「いいよって言ってくれたわ」
「多分その「いいよ」は、付き合わないの「いいよ」だと思うよ。アイツは言葉が少ないから、それに棒読みみたいなイントネーションだし」
怒った顔をして
「もう終わった恋なんて、どうでもいいのよ。
ただ、6月の時に、ライバルが出来たから、もう電話しないでくれって言われたのは本当の事よ」
なんか祐輔らしい。
アイツも彩香ちゃんの事が好きだと思うから、ずーっと心に引っかかっていた物が取れた感じだった。
僕は話を戻す
「ごめん。君から莉乃にLINEしてくれないか?
僕のLINEは、読んでくれないんだ」
「それは無理ね。だって私のLINEも読んでくれないもの」
「そうか、ダメかあ」
「しょうがないわね、アンタの電話番号とLINEID教えなさい。」
「えっ協力してくれるの?」
「応援はしないわよ。ただ何かあったら教えてあげるだけよ」
「ありがとう」
結局よく分からないまま、番号交換だけして、喫茶店を出た。
とにかく何とかしなくては、このままでは本当にマズイ事になってしまう。
そうだ!
家の電話番号を聞けばいいんだ。
早速、美希さんに電話する。
「何よ、早速。私に恋してもダメだからね。私は新しい恋の進行中なんだから」
「いやいや、それは100%無いよ。
莉乃の家の電話番号を教えてくれないかな?」
「何かムカつくわね。でも今時の学校は家の電話番号を教えないのよ。
特にうちみたいなお嬢様学校はね」
自分で言うか?
「そっか、分かった。ありがとう」
う〜ん、どうしよう
そうだ父なら分かるかも知れない。
父に電話する。
「もしもし父さん」
「何だ?」
「社長の家の電話番号を教えてくれないかな?」
「家に行けば分かるよ。俺の部屋の書棚にあるtけど、鍵が掛かっている。」
「父さんはどこにいるの?」
「母さんと一緒に三崎港でマグロ買ってる」
「えっ帰りは何時になるの?」
「夕食までには帰るよ。
今日は高校祝いで豪華なマグロづくしだぞ。期待して待ってろよ」
取り敢えず家に帰る事にした。
そして両親が帰って来て、電話番号を聞くと、すぐに電話を掛けた。
電話には社長が出たので、莉乃に代わってもらう様に頼む。
心地良く莉乃に電話を代わってくれそうだったが、
ガチャ
?
受話器を落としたのかな?
するとまた
ガチャ
?
電話口から莉乃では無くて、社長の声がした。
「勝利君ごめんな。ちょっと莉乃は具合が悪くて電話に出れそうもない」
えっ!
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