第3章 恋愛交差点

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駅に着いたが、御茶ノ水駅に家がある莉乃は、どの電車に乗るのかさえ分からない。 山手線、銀座線それとも半蔵門線? 行こうと思えば、どの路線でも行けてしまう。 どうしよう? すると、後ろから声が掛かる。 「もうここには居ないわよ。追っても無駄よ。アンタと莉乃は釣り合わないわ」 さっき莉乃を引っ張って、一緒に逃げた子が僕に話し掛けてきた。 「アンタどういうつもり。莉乃を汚して嬉しいの?」 「僕は汚すつもりなんて一切無いよ。僕は真剣に莉乃が好きなんだ」 「何でそんな好きなのに、他の女と一緒にいるのよ!」 あれ?莉乃の話し方に似てる。 「幼馴染で、別に恋人でも無いし、大事な友達だよ。 そんな変な関係では無いよ!」 ちょっと大きな声だったので、周りの人が僕達をチラ見している。 「ちょっとここでは話しづらいから、こっちに来なさい」 と喫茶店に入る。 そして2人掛けの席に座ると、再び話し始める。 「莉乃はね、大人しいからアンタの申し入れを断れなかっただけなの。 無理矢理KISSまでされて、訳が分からず付き合ったのよ。 別にアンタの事を好きで付き合っている訳では無いのよ」 ? 「それは莉乃が言ったの?」 「そうよ!当たり前でしょ!他に誰が言うのよ」 僕は彼女に向けて指差す。 「本当に馬鹿ね。何で私が・・」 「だって、僕達まだ付き合って無いよ」 「えっ!そうなの?」 いきなり声のトーンが下がった。 「それに莉乃は僕の前では大人しく無いよ。君の話し方にそっくりだよ」 「えっ私に?」 何だろう、異常に驚いている様子だ。 「話を誤魔化さないで!」 「いやいや、複雑にしたのは君だよね」 「とにかく莉乃には近づかないで! あの子は内気で、私しか友達がいない様な子なの、そんな子を騙して嬉しいの?」 まったく人の話を聞かない。 この子って、まさか 「ねえ、君が祐輔いや大野と付き合ってたって言う友達?」 「そ・そうよ。悪い?」 「本当に付き合ってたの?」 「付き合ってたわよ。失礼ね。 電話番号だって知ってるわよ」 「その番号、誰から聞いたの?」 「うるさいわね。彼の女房からよ。」 何だか話が滅茶苦茶になってきた。 「それって秋山? 知らないわよ。 とにかく付き合ってたの、電話も3回ぐらいしたんだから」 「どっちが告白したの?」 「私が付き合ってって言ったんだから」 「大野は?」 「いいよって言ってくれたわ」 「多分その「いいよ」は、付き合わないの「いいよ」だと思うよ。アイツは言葉が少ないから、それに棒読みみたいなイントネーションだし」 怒った顔をして 「もう終わった恋なんて、どうでもいいのよ。 ただ、6月の時に、ライバルが出来たから、もう電話しないでくれって言われたのは本当の事よ」 なんか祐輔らしい。 アイツも彩香ちゃんの事が好きだと思うから、ずーっと心に引っかかっていた物が取れた感じだった。 僕は話を戻す 「ごめん。君から莉乃にLINEしてくれないか? 僕のLINEは、読んでくれないんだ」 「それは無理ね。だって私のLINEも読んでくれないもの」 「そうか、ダメかあ」 「しょうがないわね、アンタの電話番号とLINEID教えなさい。」 「えっ協力してくれるの?」 「応援はしないわよ。ただ何かあったら教えてあげるだけよ」 「ありがとう」 結局よく分からないまま、番号交換だけして、喫茶店を出た。 とにかく何とかしなくては、このままでは本当にマズイ事になってしまう。 そうだ! 家の電話番号を聞けばいいんだ。 早速、美希さんに電話する。 「何よ、早速。私に恋してもダメだからね。私は新しい恋の進行中なんだから」 「いやいや、それは100%無いよ。 莉乃の家の電話番号を教えてくれないかな?」 「何かムカつくわね。でも今時の学校は家の電話番号を教えないのよ。 特にうちみたいなお嬢様学校はね」 自分で言うか? 「そっか、分かった。ありがとう」 う〜ん、どうしよう そうだ父なら分かるかも知れない。 父に電話する。 「もしもし父さん」 「何だ?」 「社長の家の電話番号を教えてくれないかな?」 「家に行けば分かるよ。俺の部屋の書棚にあるtけど、鍵が掛かっている。」 「父さんはどこにいるの?」 「母さんと一緒に三崎港でマグロ買ってる」 「えっ帰りは何時になるの?」 「夕食までには帰るよ。 今日は高校祝いで豪華なマグロづくしだぞ。期待して待ってろよ」 取り敢えず家に帰る事にした。 そして両親が帰って来て、電話番号を聞くと、すぐに電話を掛けた。 電話には社長が出たので、莉乃に代わってもらう様に頼む。 心地良く莉乃に電話を代わってくれそうだったが、 ガチャ ? 受話器を落としたのかな? するとまた ガチャ ? 電話口から莉乃では無くて、社長の声がした。 「勝利君ごめんな。ちょっと莉乃は具合が悪くて電話に出れそうもない」 えっ!
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