第1章 幼馴染5人組

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待ち合わせの公園に父が会社から借りてきたマイクロバスで到着する。 そこには、彩香ちゃんと彩香ちゃんの母が既に待っていた。 父が車を公園の横に駐車して、僕達も公園に行った。 「おはよう」 と彩香ちゃんに言うと 「おはよう」 と笑顔で返って来た。 彩香ちゃんとは夏休みに一度も会っていなかったので、久しぶりに会った感じがする。 (ちょっと大人っぽくなったかな?) 「ショウリは、どこか行ったの?」 「キャンプには行ったけど、殆ど塾通いだったよ」 「高校は何処を目指しているの?」 「一応、心城学園に行こうと思ってるんだ。 偏差値はあまり高くは無いけど、受かるかギリギリのラインだから夏休みは勉強漬けになっちゃったよ」 「そうよね、ショウリは野球一筋だったもんね」 「うん。1つの事しか集中できないから、いけないんだけど・・」 「でも、それがショウリのいいところだと思うわ」 やっぱり彩香ちゃんと話すと心が落ち着く。 長年一緒にいるから、気心も知れているので、変に飾る事が無い。 「彩香ちゃんは、何処に行くの?」 「うーん、池岡女学園に行こうと思うんだけど。」 「あれ?あそこって中高一貫校では無かった?」 「うん。高校も少数の募集があるから、受けてみようと思ってるんだ。」 「彩香ちゃんなら大丈夫だよ。応援するよ!」 「ショウリは、自分の事を考えないとダメでしょ」 「確かにそうだね」 あれ? 莉乃も確か? すると奈緒の家族が到着する。 奈緒の家族は、両親と奈緒と中学1年の妹が来た。 彩香「奈緒、おはよう」 「彩香、ショウリおはよう」 学校では挨拶も出来ないが、僕達の集まりの時は、学校では見せない顔を持つ。 彩香と奈緒は、二人とも吹奏楽をやっていて、彩香はフルート、奈緒はクラリネットをやっている。 彩香「そういえば奈緒はどの高校に行くの?」 「実はまだ決めていないんだ。」 僕は 「まだ決めてないって、まずくないか?早く決めろよ」 奈緒「うん。でもショウリよりは、頭がいい高校には入れるわよ」 「何言ってるんだよ。俺は今まで頭を使って無いから 、お前より伸び代が大きいんだよ!」 彩香が笑う。 「ショウリっと奈緒って、二人の時は、まるで夫婦みたいね」 その言葉に、奈緒の顔が真っ赤になる。 そして、小さい声で彩香が呟く 「いいなあ」 ? それは、僕と仲良くしたくて言ったのか、大野と仲良くしたくて言ったのか分からなかった。 そして、祐輔と耕太の家族が一緒にやって来た。 祐輔と耕太の家は、二家族共に母親しか来なくて、耕太は小学生6年生の弟が来ていた。 全員15名が揃ったので、車を走らせて、横須賀にある走水海岸に向かった。 後ろの席に子供達が座り、前方の席は、母達が陣とった。 そして助手席には、奈緒の父親が座った。 耕太「祐輔は高校決まったの?」 祐輔「多分、稲川実業高校だと思う。」 稲川実業と言えば、野球も甲子園常連校だが、頭も良いので有名な高校だ。 彩香「祐輔、凄いね。」 ? あれ? 何で彩香ちゃんが祐輔の行く高校を知らないんだろう? 祐輔「耕太も推薦が来てただろ?何処に決めたんだよ?」 耕太「実は推薦を全部蹴ったんだよ。」 確か去年甲子園に行った桜大付属高校からも推薦があったと聞いていたが。 僕は 「耕太、桜大からも推薦あったんだろ?」 「あったよ。だけど桜大は、俺たちが高校生の間は甲子園に行けないからな」 桜大は、大野が行く稲川と同じ地区だから言っているのだろう。 「じゃあ何処に行くんだよ?」 「それはまだ言えないな。落ちたら見っともないから。 ただ甲子園に行ける学校だよ。」 耕太は、こう見えても成績は優秀だ。 耕太が受かるか分からなくて、甲子園に近い高校と言ったら、聞かずとも分かる。 稲川実業だ。 奈緒が僕に質問する 「ショウリは、何処から推薦来たの?」 彩香「奈緒!ダメでしょ!」 奈緒「何で? ショウリは甲子園の優勝投手になるんでしょ?」 まったく、何の疑いも無い表情で言った。 「俺は高校に入ってから上手くなるから、今はまだ俺の実力が皆んな分からないんだよ」 奈緒「そうなんだ。 皆んな見る目が無いんだね」 「ところで奈緒は、野球の事を分かってるのかよ」 「勿論、知らないよ」 僕達は首都高速から、横浜横須賀道路に乗った。 しばらくして 「もうすぐ着くぞ」 その言葉に心が躍る。 「あっ海だ!」 海が目の前に現れる。 海に向かって下り坂を下りていく。 高速出口の信号で止まる。 南国をイメージするような道路に僕は思わず 「なんかハワイにでも来たみたいだな」 耕太「あれ?勝利はハワイ行った事あるの?」 「イメージだよ。イメージ」 車は右に曲がり、2、3分走ると父が 「海に着いたぞ!」
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