第5章 遠い甲子園への道のり

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日曜日 「プレイボール」 審判の掛け声で試合が始まる。 この試合に近藤も呼ばれていたので、祐輔、耕太と僕の4人で観戦している。 先攻は、東京三校だ。 1番打者が打席に入る。 心城学園の投手は、エースの安川さんだ。 耕太「やけに小柄な打者だな」 近藤「このチームは、目立った選手はいないけど、みんな振りがシャープでボールに当ててくる、嫌な打者が揃っているんだ。」 「へえ〜それは嫌だな」 と話していると1番打者が、フォアボールで出塁した。 そして2番が送りバントを決めて、3番打者がレフト前にヒットを放ち、早くも1点が入る。 そして4番打者が打席に入る。 祐輔「あれ? あんな大柄な選手いたか?」 カキーン 見逃せばボールだったであろう、インコース高めのストレートを打った。 打球は高く上がり、何とレフトの防球ネットを越えていった。 「あれ?確か目立った選手は」 と言いかけた時に、近藤の鋭い目が僕の事を突き刺してきたので、それ以上言うのをやめた。 1回の表は、何とか3点で抑えて終わった。 さて注目の澤田だ! あれ? 右投げ? 東京三校は、控え投手を先発に送り込んでいた。 鼻から勝ち敗けを意識していなかったのか、負けるチームでは無いと、メンバーを抑えたのか、真意は分からない。 ただ観客の僕達にとっては、とてもつまらない試合になった事だけは確かだった。 東京三校の投手は、いくら控えだからといって、手を抜ける投手では無い。普通の高校のエースレベルの力は充分にある。 1番の本田さんはセンター前にヒットを放ち、送りバントで塁を進めるも、後続にヒットが出ずに点数を奪えなかった。 そして2回に1点、3回は2点と追加点を取られる。 3回までに6点差がついてしまった。 そして4回からは、次々と選手が交代していく。 7回までに全員が交代して、2軍との戦いに変わっていた。 しかし試合は、10対2で負けている。 そして8回の裏投手も変わる。 堂々とマウンドに立ち、長身の身体が鞭の様にしなり、その力が左腕を伝わりボールに込められる。 キャッチャーミットの音が響く。 「速い・・」 近藤「アイツの武器はそれだけでは無いぞ」 次に投じた球は、ストライクゾーンの右上から左下まで曲がるカーブだった。 「凄い」 耕太「コイツと2年間戦うのか」 「でも、面白そうだね」 祐輔「勝利は、そうやって上を目指して頑張れれば、きっと越えれるよ。 お前の諦めの悪さは一級品だからな」 そして試合が始まる。 本田さんがバッターボックスに入る。 キャッチャーミットの音が響き渡る。 ズボッ ズボッ ズボッ 3球で三振。 「あの本田さんが、まったく手も足も出ないなんて」 続く2、3番も三振で終わった。 東京三校は、澤田からの打順だったが、代打が告げられた。 澤田は、今の回だけ投げてベンチに下がった。 とはいえ、とんでもない存在感。澤田を見た事で僕の闘志は燃え上がった。 「面白いよ、絶対面白いよ。高校で絶対に倒そう! ねっ耕太、近藤」 耕太「祐輔がいなくて、お前の闘争心が消えてしまうか、心配だったが大丈夫そうだな」 近藤「俺がアイツからホームラン打ってやるから、お前は0点に抑えろよ」 祐輔「俺からも打った事が無いのに?」 近藤「お前には手を抜いたんだ!」 祐輔「公式戦で?」 近藤と祐輔は、相性が悪いと思っていたが、案の定、最悪であった。 祐輔「でも、東京三校だけでは無く、去年の秋の大会で東京三校を下している徳川学園も、確か1年生で、エースで4番がいるしな」 「徳川学園の4番って、プロも注目している松田だよね?」 近藤「あ〜松田だ。 アイツは確かに凄い。俺もアイツを絶対に越えてやる。」 祐輔「バットだけな」 近藤「一言多いんだよ、お前は」 そんな話をしていると ゲームセットの声が聞こえた。 結局12対2の10点差でゲームは終わった。 後ろから声が聞こえる 「どうだい?君達の手で、あそこを越えれそうかい?」 「あっ校長先生!」 「はい、絶対に越えます。越えてみせます。」 「それは楽しみだ。期待してるよ」 と言って歩いて去って行った。 何だか燃えて来たあ
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