第1章 幼馴染5人組

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「ここが海水浴場?」 僕がイメージしていた海水浴場は、広い砂浜に群がるビキニの美女達。 ビーチバレーや、所々で子供が走りまわる姿だった。 そんな妄想を抱いて来たのだけど、目の前にある海岸は、僕の想像とは程遠い。 砂浜はそんなに大きくないが、人の数はそんなに多くない。 穴場といえば穴場なのかもしれない。 彩香「でも人がそんなに多く無いから良かった。」 と呟く。 僕達は海の家に入り、水着に着替える。 男子はすぐに着替え終わり、海へ一直線に入りに行く。 男子で一番目立っていたのは、競泳用水着を着た父であった。 耕太「いつ見ても勝利の父ちゃんって、凄い体してるな」 「一応、オリンピックの最終候補に残ったみたいだからな」 祐輔「勝利も鍛えろ!」 ? 祐輔が僕に話し掛けてきた。 6月ぐらいから、何故か祐輔に避けられていて、殆ど会話が無かったのだが 耕太が僕の耳元に近づき、小声で話す。 「仲を取り戻したいみたいだぞ」 特に喧嘩している訳では無いのだが、元の関係に戻りたいのは、僕も同じ気持ちだったので 「祐輔、泳ごうぜ!」 耕太も混ざり、3人で海に飛び込もうと思った時、女子が水着に着替え終えて、海の家から出てきた。 まず彩香が水玉のワンピースの水着を着て砂浜に出てきた。 可愛い と彩香の水着に見とれていると あれ? 彩香の後ろに、ビキニを着た女の子が歩いている。 背は小さいが、出るところは出ている。 そして可愛い。 耕太「あれ、奈緒じゃねえ?」 よく見ると、確かに奈緒だ。 普段は服で隠れている胸がここまで大きいとは! 母親達の胸と比べるとまだまだだが、布の少ないビキニからはみ出そうな胸は、僕達に衝撃を与えた。 それにメガネを外したせいか、まるで別人だ。 耕太が奈緒を見て、僕に話し掛ける。 耕太「やべえ。ドキッとしちゃったよ。」 海で泳ごうとしていたが、耕太がビニールボールを手に持ち 「みんなでバレーしようぜ」 その掛け声に女子も混ざり、僕達は本当に久しぶりに5人で遊んだ。 遊んでいくうちに、まるで幼稚園の時の様に、無邪気だった5人組に戻った様な感じがした。 今思えば、5人で無邪気な時間を過ごした最後の日だったのかも知れない。 僕は日焼けをしようと砂浜で寝ていると、彩香が僕の横に座る。 そして、僕に話し掛けてきた。 「私、祐輔が好き。卒業式で告白しようと思ってるんだ。」 僕はショックだったが、 「分かっていたよ。彩香ちゃんが祐輔の事を好きだって事。 もう告白しちゃえば?」 彩香「もし振られたら、この5人の関係が崩れそうで、今は言えない。 私、この5人の関係は好きなんだ。 出来れば大人になっても続けていきたいなあ」 僕は彩香ちゃんの様に、みんなの事を考えずに、彩香ちゃんに告白しようと、自分の事ばかり考えていた自分が恥ずかしくなった。 「そうか、でも彩香ちゃんが振られても、関係は続けて行こうよ。 多分、振られないと思うけど」 「勝利ありがとう。相談して良かった。 心のモヤモヤが取れたかも」 と言って、みんなの方に向かって走って行った。 彩香のモヤモヤは、僕に移った。もう彩香ちゃんの事は何とも思わないと思っていたが、いざ他人の彼女になると思うと複雑なしんきょうであった。 僕ってダメな男だな
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